健康診断を会社に提出するのは義務!把握する人やスムーズに開示させる方法

会社で義務付けられている健康診断。

ただ、従業員から「健康診断の結果を会社に提出したくない」と言われた方も多いのではないでしょうか?

会社は、健康診断のある項目までは把握するべきと義務付けられています。

今回は、健康診断を会社に提出するべき理由やどの人までが把握するべきかについて解説します。

後半では、社員に健康診断結果をスムーズに提出してもらう方法も解説するので、ぜひ参考にしてみてください。

実施するべき健康診断

会社が実施するべき健康診断は、大きく分けて「一般健康診断」と「特殊健康診断」の2種類です。

それぞれの概要や診断項目について解説します。

一般健康診断

一般健康診断とは、業種に関係なく全ての従業員が受診するべき診断のことです。

一般健康診断は、主に以下の5種類に分けられています。

健康診断の種類対象者
雇入時の健康診断常時使用する労働者
定期健康診断常時使用する労働者
特定業務従事者の健康診断労働安全衛生規則第13条第1項第2号に掲げる業務に常時従事する労働者
海外派遣労働者の健康診断海外に6ヶ月以上派遣する労働者
給食従業員の検便事業に附属する食堂や炊事場の給食業務に従事する労働者

この中で、特に押さえておきたいのが「雇入時の健康診断」と「定期健康診断」です。

雇入時の健康診断は雇入れの際に実施し、定期健康診断は1年以内ごとに1回実施します。

以下に実施するべき健康項目を記載したので、ぜひチェックしてみてください。

雇入時の健康診断の項目定期健康診断
1.既往歴及び業務歴の調査
2.自覚症状及び他覚症状の有無の検査
3.身長、体重、腹囲、視力及び聴力の検査
4.胸部エックス線検査
5.血圧の測定
6.貧血検査(血色素量及び赤血球数)
7.肝機能検査(GOT、GPT、γ―GTP)
8. 血中脂質検査(LDLコレステロール,HDLコレステロー ル、血清トリグリセライド) 
9.血糖検査
10.尿検査(尿中の糖及び蛋白の有無の検査)
11. 心電図検査
1.既往歴及び業務歴の調査
2.自覚症状及び他覚症状の有無の検査
3.身長、体重、腹囲、視力及び聴力の検査
4.胸部エックス線検査及び喀痰検査
5.血圧の測定
6.貧血検査(血色素量及び赤血球数)
7.肝機能検査(GOT、GPT、γ―GTP) 
8.血中脂質検査(LDLコレステロール,HDLコレステロー ル、血清トリグリセライド)
9. 血糖検査
10.尿検査(尿中の糖及び蛋白の有無の検査)
11. 心電図検査

特殊健康診断

特殊健康診断とは、有害な業務に常時従事する労働者が対象の診断です。

雇入れ時や配置替えのとき、さらに6ヶ月以内ごとに1回実施する必要があります。

特殊健康診断は業務に応じて行う項目が異なるので、都道府県労働局か労働基準監督署まで問い合わせてみてください。

社員が健康診断結果を会社に提出するべき理由

こちらでは、なぜ社員が健康診断結果を会社に提出しなければいけないのかについて解説します。

法定項目に関する健診結果は提出が義務

健康診断結果を会社に提出するべき理由は、労働安全衛生法にて義務付けられているからです。

第66条では、健康診断の結果を労働者へ通知することが記載されていることからも、健康診断結果を会社が把握することが前提とされています。

さらに、社員の健康状態を把握していなければ、一人ひとりに適した労働環境を提供することができません。

それぞれの健康状態を押さえずに社員が倒れてしまったときなどは、責任問題に問われる恐れもあるので注意しましょう。

法定項目以外の健診は同意が必要

健康診断結果を会社が把握しなければいけないのは、上部で紹介した実施が義務付けられている項目のみです。

婦人科健診などの労働安全衛生法で義務付けられていない健康診断は、本人の同意がなければ提出してもらうことはできません。

ただ、先ほどお話したように会社が社員の健康状況を把握しなければ、円滑に業務を回すことができないので、重要性を伝えてできるだけ提出してもらうように心がけましょう。

健康診断結果とプライバシーの関係

従業員の中には「健康診断結果を提出するのは、プライバシーの侵害になる」と主張する方もいるかもしれません。

しかし、労働安全衛生法では「会社が従業員に健康診断結果を提示する」と定められているからこそ、健康診断を受診したということは会社への提出を認めたということになります。

このため、健康診断結果を把握することはプライバシー的観点からでも問題ありませんが、提出後の管理は非常に大切です。

漏洩などが起きた場合は責任問題になるので、厳重に保管しましょう。

健康診断結果は会社の誰が把握する?

会社内で健康診断結果を把握できる人は、主に以下の通りです。

  • 健康診断の実施の実務に従事している者
  • 人事労務部門の担当者
  • 職場の管理監督者

把握する人は必要最小限にするべきとされているため、従業員の就業制限に関わる人のみ開示されます。

社員に健康診断結果をスムーズに提出させるには?

社員に健康診断結果を提出させるには、以下2つのポイントを押さえるべきです。

  • 就業規則に記載する
  • 事前に通知する

健康診断結果を開示してもらわなければ、労働安全衛生法に違反しているとみなされ、50万円以下の罰金が課せられる可能性があります。

ぜひ、事前の準備をしっかり行い、スムーズな提出を促しましょう。

就業規則に記載する

健康診断の結果を提出することは義務であることを、就業規則に記載しておくのがおすすめです。

これは、労働安全衛生法に基づいた義務であり、従業員の健康を管理するうえで欠かせないものであることも伝えましょう。

提出する理由が分かれば、従業員もスムーズに開示してくれるはずです。

事前に通知する

「健康診断結果を忘れてきた!」とならないように、事前に「〇〇日までに持ってきて」といった旨を伝えましょう。

さらに、健康診断結果は関係者以外には開示せず、保管も厳重にするといった文書を通知するのも良いです。

従業員が安心して健康診断結果を提出できるような環境作りを、心がけてみてください。

転職時に健康診断結果を提出することもある

転職活動時に、場合によっては内定先から健康診断結果の提出を要求されることがあります。

この場合は、先にお話した「雇入時の健康診断」の結果を提示しなければいけません。

では、受診するタイミングや費用について解説します。

受診期間

一般的には、内定を受けてから入社までに受診しましょう。

受診場所は規定がないことも多いので、事前に会社へ確認したうえで好みの医療機関を訪れてみてください。

「健康診断の受診が面倒!」と思うかもしれませんが、受診することは義務であり、会社にとっても業務の遂行ができるかを判断する材料になります。

必ず時間を作って健康診断受診を行いましょう。

費用負担は企業によって異なる

転職時の健康診断に関して誰が費用を負担するのかは、法律上で定められていません。

自己負担の場合は大体1万円ほどかかりますが、詳細な費用は受診する医療機関へ直接問い合わせてみましょう。

また、雇入時の健康診断は保険適用外なので保険証は持参しなくても問題ありません。

まとめ|健康診断結果を会社に提出できる環境を整えよう

今回は、健康診断を会社に提出するべき理由やどの人までが把握するべきかについて解説しました。

健康診断結果を会社が把握するのは義務なので、従業員がスムーズに提出できるような環境を整える必要があります。

情報を把握するのは関係者だけで、情報は厳密に保管するなど、従業員が安心できるような通知を行いながら、提出を促してみてください。

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