人間ドックは会社負担になる?会社が負担すべき健康診断の範囲や費用を徹底解説

「人間ドックを従業員が受ける場合、会社で負担するべき?」「会社が負担する必要がある健康診断は、どのようなものがあるの?」

健康診断の義務について、きちんと把握できていない事業者の方は案外多いかもしれません。

そこでこちらの記事では、会社負担するべき健康診断について、詳しく解説していきます。

人間ドックやオプション検査など、どこまで会社で負担するべきか悩んでいる人はぜひ最後までご覧ください。

人間ドックの費用は会社が負担するべき?

はじめに、人間ドックの費用は会社が負担するべきなのかを、解説していきます。

人間ドックの費用は、一般的な健康診断に比べて高額なので、費用の負担は気になるところです。順に確認していきましょう。

法定外の項目のため個人負担でも問題ない

結論から申し上げると、人間ドックの検査内容は基本的に法定外項目となっているため、費用の全額が個人負担となっても法律上問題はありません。

とはいえ、法定項目の健康診断を受診させることは会社の義務となっているため、健康診断の代わりに人間ドックを受けて結果を代用する場合は、費用の負担ルールを会社で設けておく必要があります。

人間ドックの費用負担には、いろいろなパターンが考えられます。

  • 全額個人負担
  • 法定項目については会社負担
  • 自治体や健康保険組合の補助金を使って残りは個人負担

人間ドックの結果を、受診させる義務のある健康診断の結果に代用する場合は、必要以上の結果を知ってしまうリスクや、法定項目以外の結果も載っている情報の管理に注意しましょう。

福利厚生で人間ドックの費用を負担する企業も

人間ドックの費用については、福利厚生として全額負担する企業もあります。

人間ドックの負担費用を福利厚生費として経費にすることについては、国税庁で以下のような例が示されています。

「役員及び使用人の健康管理の目的で、全員について春秋2回定期的に健康診断を実施しているほか、成人病の予防のため、年齢35歳以上の希望者の全てについて2日間の人間ドックによる検診を実施しています。」

引用元:国税庁(人間ドックの費用負担)

国税庁としては、この状況の場合、人間ドックの費用について給与等として課税しなくても良いということです。

どこまでの金額が福利厚生費とできるかの明確な基準はありませんが、2日間の人間ドック程度は認められると考えて良いでしょう。

会社に負担義務がある健康診断に関わる費用の範囲は?

それでは、会社に負担義務がある健康診断の費用について、4つのポイントを解説します。

  • 法定項目の定期健康診断
  • 新規雇用時の健康診断
  • 産業医の求めるオプション検査
  • 健康診断受診にかかった時間の賃金

1つずつ詳しくチェックしていきましょう。

法定項目の定期健康診断

労働安全衛生規則第44条にて、「事業者は、常時使用する労働者(第四十五条第一項に規定する労働者を除く。)に対し、一年以内ごとに一回、定期に、次の項目について医師による健康診断を行わなければならない。」と定められています。

1年に1度、必ず行わなければならない法定項目は、以下の通りです。

  • 既往歴及び業務歴の調査
  • 自覚症状及び他覚症状の有無の検査
  • 身長、体重、腹囲、視力及び聴力の検査
  • 胸部エックス線検査及び喀痰かくたん検査
  • 血圧の測定
  • 貧血検査
  • 肝機能検査
  • 血中脂質検査
  • 血糖検査
  • 尿検査
  • 心電図検査

新規雇用時の健康診断

定期健康診断とは別に、労働安全衛生規則第43条にて、「事業者は、常時使用する労働者を雇い入れるときは、当該労働者に対し、次の項目について医師による健康診断を行わなければならない。」とも定められています。

この際も、上記の法定項目を受診させるのが義務となっていることを覚えておきましょう。

ただし、新規雇用する従業員が3ヶ月以内に医師の健康診断を受診し、法定項目の検査をした内容を書面で提出した場合は、改めて健康診断を受診する必要がありません。

定期・新規雇用時の健康診断についての、費用の目安は、1万円前後であることが多いです。

産業医の求めるオプション検査など

法定項目以外のオプション検査は、基本的に個人負担でも問題ありませんが、産業医や会社として受診するように求めるものについては、会社負担とする方が良いでしょう。

会社が社員の健康管理のために、オプション検査までしっかりと受診させたいと考えているなら、会社負担にすることで受診率が上がると考えられます。

法定外項目のどこまでを負担するか、という目安として、健康保険組合などで補助が出る検査の残額を負担するケースも多いです。

いずれにしても、どこまで会社負担にするのかということは担当者が独断で決めるのではなく、安全衛生委員会で協議し、きちんと議事録に明記した上で就業規則に反映させると良いでしょう。

健康診断を受診するのにかかった時間の賃金

健康診断を受けるために必要な時間は、賃金が発生するのかということについては、厚生労働省によると「労使間の協議によって定めるべき」だとしています。

なぜなら、健康診断は健康を維持するために実施するもので、業務を遂行するために直接関連がないからです。

とはいえ厚生労働省は、「円滑な受診を考えれば、受診に要した時間の賃金を事業者が支払うことが望ましい」ともしています。

会社が受診にかかった時間の賃金も支払うことで、健康診断の受診率を上げることを推奨していると知っておいてください。

また、こちらでお伝えした健康診断とは一般健康診断のことで、特殊健康診断については実施しないと業務遂行ができないものなので、こちらは賃金の支払いが必要としています。

参考:健康診断を受けている間の賃金はどうなるのでしょうか?

会社に負担義務のない健康診断の範囲も紹介

ここまでは、会社が負担するべき健康診断の範囲や費用について紹介しましたが、義務がない健康診断の範囲についてもまとめておきます。

  • 法定項目外のオプション検査
  • 健康診断後の再検査

1つずつ詳しくチェックしていきましょう。

法定項目外のオプション検査

法定項目ではないオプション検査については、基本的には会社が必ず負担しなくてはいけない義務はありません。

健康診断のオプション検査は、以下のようなものがあります。

  • 胃カメラ検査
  • 各種がん検査
  • 腹部超音波検査
  • 肝炎ウイルス検査  など

とはいえ、先ほども書いたように、会社や産業医が受診をすすめる場合はこの限りではなく、費用を負担した方が円滑に受診をすすめることができるでしょう。

健康診断後の再検査

健康診断を行い、ある項目で再検査をする必要が出てきた場合は、法律として費用を負担する義務は特に定められていません。

なぜなら、例えば悪玉コレステロール値が高くて再検査になったとしても、基本的に業務遂行には関係ないからです。

とはいえ、産業医が業務推敲に関わると判断し、再検査の結果を提出するように依頼している場合などは、会社が費用負担して再検査を行う方が良いでしょう。

法定項目以外の健康診断や人間ドックは、会社でルールを定めよう

こちらの記事では、人間ドックの費用は会社負担になるのかということや、健康診断費用の会社負担の範囲や費用目安について解説しました。

人間ドックを含む、法定項目外の健康診断については、基本的には会社が負担しなくてはいけない義務はありません。

とはいえ、従業員の健康維持や安全への配慮のために会社が健康診断を推奨するならば、ある程度費用を負担して受診を促進するのが望ましいでしょう。

従業員の健康や安全を守るためのルールを、安全衛生委員会できちんと定めることが大切です。ぜひ、検討してみてはいかがでしょうか?

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