この記事では、健康診断を従業員が受けないとどうなるのか、受診拒否する従業員への対応はどうすればいいのかを紹介します。また、再検査を伝えられた従業員に対応しなかったときのリスクも解説するので、ぜひ参考にしてみてください。
従業員から健康診断を拒否されて困っていませんか?
健康診断は会社の義務なので、従業員が受診しないと罪に問われてしまいます。
今回は、会社が健康診断を受診させなかったときにどうなるのかについて詳しく解説していきましょう。
さらに、受信拒否する従業員への対応についても紹介するので、ぜひ参考にしてみてください。
健康診断の種類

会社で実施しなければいけない代表的な健康診断は、以下の3つです。
- 雇入時の健康診断
- 定期健康診断
- 特殊健康診断
それぞれ、誰が対象者なのか、またどんな項目を検査できるのか確認していきましょう。
雇入時の健康診断
雇入時の健康診断とは、常時使用する従業員に対して雇入れの際に行う検査です。
検査できる11の項目 |
1.既往歴及び業務歴の調査 2.自覚症状及び他覚症状の有無の検査 3.身長・体重・腹囲・視力・聴力の検査 4.胸部エックス線検査 5.血圧の測定 6.貧血検査(血色素量及び赤血球数) 7.肝機能検査(GOT、GPT、γ―GTP) 8.血中脂質検査(LDLコレステロール,HDLコレステロー ル、血清トリグリセ ライド) 9.血糖検査 10.尿検査(尿中の糖及び蛋白の有無の検査) 11.心電図検査 |
定期健康診断
定期健康診断とは、常時使用する従業員に対して1年以内ごとに1回行う検査を指します。
検査できる項目は以下の通りです。
検査できる11の項目 |
1.既往歴及び業務歴の調査 2.自覚症状及び他覚症状の有無の検査 3.身長・体重・腹囲・視力・聴力の検査 4.胸部エックス線検査・喀痰検査 5.血圧の測定 6.貧血検査(血色素量及び赤血球数) 7.肝機能検査(GOT、GPT、γ―GTP) 8.血中脂質検査(LDLコレステロール,HDLコレステロー ル、血清トリグリセ ライド) 9.血糖検査 10.尿検査(尿中の糖及び蛋白の有無の検査) 11.心電図検査 |
特殊健康診断
特殊健康診断とは、以下でまとめた有害な業務に常時従事する従業員が対象の検査です。
特殊健康診断を義務付けられている業務 |
1.放射線業務 2.有機溶剤業務 3.鉛業務 4.四アルキル鉛等業務 5.特定化学物質の製造、又は取り扱う業務 6.高圧室内業務又は潜水業務 7.除染等業務 8.石綿の粉じんを発散する場所における業務 |
原則として、雇入れ時、配置替えの際、さらに6ヶ月以内ごとに1回受けなければいけません。
検査される項目は、業務ごとに異なります。
健康診断は会社の義務

会社が健康診断を従業員に受けさせることは、労働安全衛生法によって定められていることです。
もし、従業員が健康診断を受診しなかった場合は、違法行為とみなされて50万円以下の罰金を支払わなければいけません。
ちなみに、健康診断の結果が漏洩した場合は、6ヶ月以下の懲役または50万円以下の罰金が課せられるので注意しましょう。
健康診断を受けたくない従業員への対応法

会社側は、従業員から「健康診断を受けたくない!」と言われても、実施は法律によって決まっていることなので、受診を促さなければいけません。
こちらでは、受診を拒否する従業員へどのように対応するべきかお話しましょう。
理由を聞く
まずは、なぜ従業員が健康診断の受診を拒否しているのか、理由を聞いてみましょう。
「絶対に健康だから必要ない」「仕事が忙しくて健康診断に行く暇がない」など、様々な本音を聞くことができるかもしれません。
健康診断を受けたくない理由を聞けば、対処法も自然と見つかるはずです。
「万が一の場合を考えて行くべき」「優先順位の高い業務だけ片付けたら行ってみて」など、従業員の受診を拒否する理由を解決できる方法を伝えてみてくださいね。
メリットを伝える
健康診断を受けることはどんなメリットがあり、受けなければどんなリスクがあるのかを伝えてみましょう。
会社に義務付けられている健康診断を受診すれば、生活習慣病をはじめとする数々の病気の早期発見や早期治療を行うことができます。
もちろん、費用は会社が負担するので、無料で自分の健康管理ができるのは従業員にとって魅力的ですよね。
一方、健康診断を受けなければ、自覚症状のない病気にかかっていたとしても発見や治療することができなくなってしまいます。
健康診断を受けるとはどんなことなのかを、今一度従業員へ話してみてください。
健康診断を受けさせるには?

健康診断を従業員に受けさせるには、具体的にどのような対策をとるべきでしょうか?
スムーズに従業員が健康診断を受診できるよう、ぜひチェックしてみてください。
義務であることをあらかじめ伝える
前提として、健康診断は受ける義務があることを従業員に伝えましょう。
従業員の中には、「健康診断を受けるか受けないかは本人の自由」と思っている人もいます。
健康診断を受診することは法律で定められていることを、事前に話しておきましょう。
希望日に予約できるように工夫する
健康診断を受けやすくなるように、従業員が希望の日時に受診できるような工夫も必要です。
例えば、健診日を複数用意したり、比較的業務に余裕のある時期に行うなどを検討してみましょう。
特に、年度末など繁忙期に健康診断を実施している場合は、改善を検討してみてください。
医療機関を再度検討する
従業員が受診しやすい医療機関を選ぶのも1つの手です。
従業員がいつも通っているところや、自宅に近いところなどであれば、健康診断を受診するハードルが下がりますよね。
複数の医療機関を選定し、好みのところで受けてもらうなど、従業員に合わせた方法で受診を促してみてください。
健康診断の再検査を従業員に対応しないリスク

健康診断後、従業員によっては再検査を要求される場合があります。
ただ、従業員の中には様々な理由から再検査を拒否することも多いです。
こちらでは、会社側が再検査を拒否する従業員に対応しなかったときのリスクを解説します。
労働契約法に違反する可能性がある
再検査を拒否する従業員を無視するのは、労働契約法に違反する可能性があるでしょう。
労働契約法には、「会社は従業員の健康に配慮する必要がある」と定められています。
従業員が再検査を求められているということは、何かしら健康に異常があるかもしれないということ。
万が一、従業員が病気にかかってしまったら、健康を管理できなかった会社に責任があるとされてしまい、損害賠償請求に応じなくてはならない場合もあります。
人材の損失に繋がる
再検査を拒否した従業員が、何らかの病気を発症してしまえば、休職や退職をしてしまうかもしれません。
貴重な人材を埋めるには、会社にとって手間や時間がかかるものです。
再検査の後、従業員が早期治療に専念すれば、人材の損失を防ぐことができるでしょう。
まとめ|健康診断を従業員が受けないと法令違反になる
今回は、健康診断を従業員が受けないとどうなるのかについて解説しました。
健康診断の実施は会社の義務なので、従業員が受診しなければ50万円以下の罰金を支払わなければいけません。
受診を拒否する従業員に寄り添いながら、受けやすい環境を整えてみましょう。
「メディカルサポート 健康診断業務代行」を利用すれば、従業員はツールで簡単に医療機関を選べ、健康診断を予約できます。
スムーズに健康診断を実施したい方は、ぜひご相談ください。